プログラムについて

導入期研修目標

人権を守る基本的、総合的な診療能力(主治医能力)の獲得
  • 患者の全人的な理解と患者・家族と医療の目標を共有する信頼関係
  • 総合性を重視した、基本的な医学知識・技能
  • 常に一人ひとりの患者の問題解決を指向する視点
当院の導入期研修は内科の総合診療グループに所属し、指導医、後期研修医、初期研修医という屋根瓦式の指導体制の中で学びます。導入期研修ではまず、上記の研修目標を確認し、各人にあった2年間のプログラムを見通し、最初の2ヶ月で、まさに体も心も正真正銘の「医師」となり、今後生涯にわたり医師を続けていく上での基礎を作る期間とします。この時期に無理矢理ハードなトレーニングを強いると、研修に対するモチベーションが維持できずにドロップアウトしてしまう人も出てきます。私たちはまずは医師の生活に慣れること、「医師の身体と心」になることが重要だと考えています。

  • チームリーダーとしての医師の仕事をできるようになるには、多職種の仕事の内容を理解し、多職種と連携し、リーダーシップを発揮しなくてはなりません。まず、他職種の仕事を体験し、患者体験も行ないます。

  • 基本的な手技は最初に系統立てて習得することも必要です。採血(静脈、血ガス)心電図、CVライン確保、挿管などの手技の学習を行い技術研修を行ないます。

  • コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキルは特に重視して習得します。模擬患者を使ったロールプレイを行ないます。またプレゼンスキル獲得のため、カンファレンスでのプレゼンだけでなく、症例のまとめも行ないます。

  • 3~5人程度の患者さんを受け持ち、毎日の診察やカルテ記載、指示出し、病状説明への参加、カンファレンスの準備、簡単な処置など、病棟での基本的な医師の仕事を研修します。この時期の研修を通じて、チーム医療や地域の人々からの期待、病める人の実態などを体感し、「良い医師になろう」というモチベーションを高めていきます。順序だった研修及び、定期的なスケジュールにもとづくプログラムをこなしやすくするため、導入期研修の2ヶ月は病状の比較的安定した回復期リハビリテーション病棟の配属とします。

  • 地域医療の現場や実情を把握することも必要で、訪問看護ステーションやデイケア、在宅医療部、老人保健施設などの1日研修も行ないます。

  • 2年間のポートフォリオつくりの出発点とし、作成を始めます。

総合診療研修って?

基本的目標

初期研修における総合診療研修は内科研修の一部として位置づけられますが、導入期研修に引き続いて特定の診療科にこだわらずに、研修の一般目標とその具体化である行動目標を念頭に、各科研修に先立っての医師としての基礎的素養・技術を習得する時期として位置づけます。
また、一社会人としての自覚を持つことも求められる重要な時期であり、指導医集団と行動を共にする中で、多方面にわたる医師業務を知り、次第にそれに順応できるようにします。日常の患者対応以外にも、各種カンファレンスへの参加、学術活動にも触れ、医師としての多面的活動を体験しながら医師業務への耐性と確信を強化します。

研修の実際

  • この期間は指導医との共同診療による病棟研修が中心になり、患者さんの全身的・全人的管理、患者・家族とのコミュニケーション、インフォームドコンセント、他科との連携、チーム医療、継続診療のあり方、などをしっかりと学びます。PC研修における病棟研修は、チーム医療の体験しやすい脳卒中診療チームに所属して行います。この診療チームには、全身的管理を必要とする患者、総合的対応を必要とする高齢者が入院することが多く、これらを複数指導医と共同診療します。脳卒中を通して、生活習慣病管理、救急・集中治療、内科と外科との連携、高齢者総合機能評価とリハビリテーション、慢性期の療養ケア、介護・在宅ケアとの連携など、PCの基礎となる幅広い領域の知識と経験を学ぶことができます。

  • 他科医師との合同カンファ、病棟での多職種カンファなどへ参加しプレゼン手法を経験します。

  • 受け持ち患者の検査に立会い、標準的検査を理解し、診断と治療に役立てられるようにします。

  • 簡単な基本的治療手技を主治医の立会いの下で行います。

  • 研修期間中を通して、指導医とのペアで救急外来診療へ参加します。救急車で来院した患者さんの診療を通して、初期診断、初期対応、コンサルテーション、入院までの継続診療の実際を学びます。並行してBLS/ACLSなどの実践も学びます。研修委員会での評価に基づき、責任範囲の拡大が検討されます。救急外来研修は初期2年間を通して行われます。

脳卒中研修から学ぶ

汐田総合病院は脳卒中学会認定研修教育病院でもあり、脳卒中を通して幅広い領域の基礎的知識と経験を学ぶことができます。
  • リスクファクターである生活習慣病管理
  • 救急・集中治療
  • 外科的治療法
  • リハビリテーション
  • 療養ケア
  • 療養ケア
明らかな脳卒中症状から、患者の主訴する漠然とした症状による診断まで、様々な脳血管障害の診断・検査・治療の習熟を目指します。神経内科・脳神経外科医が担当し、脳梗塞、高血圧性脳内出血、TIA等の脳血管障害を中心に、頭部外傷、脊椎・脊髄疾患、感染性疾患、老人性疾患等との鑑別も学びます。
神経内科・脳神経外科の相互の特色を発展させつつ生かして「患者さんを民主的集団医療体制の中で治療していく」という方針のもと、チーム医療の一員として加わり、基本的医療技術の習得と、「患者の立場に立った医療」のあり方を学びます。週一回の抄読会では、脳神経系全般での視野で文献をもとに話題を提供、意見交換を行います。院外での症例検討会や各種学会等への参加も積極的に行います。

スキルアップ研修

スキルアップ研修とは、初期研修期間の2年間を通じて、選択したスキルについて継続的に研修を行うことができるプログラムです。継続性の必要な技術を身につけることはもちろん、往診や回診を通じての患者さんとの継続的な関係づくりなど、幅広い意味での医師としてのスキルを継続的に身につけます。
ローテートのペースに合わせて期間を組むことができます。
  • 選択するスキルの例
  • 内視鏡,腹部エコー,健康診断,往診,総合内科外来,リハビリ回診,精神科デイケア,ほか

  • スケジュール例
  • (例1) 毎週火曜日午後に総合内科外来を1年間行う

    (例2) 隔週で1回、精神科デイケアに参加する

研修プログラム1(例)

1年次
4月前半〜 内科24週(導入期、プライマリケア研修含む)
9月前半〜 整形外科9週
11月前半〜 救急科9週
1月前半~ 外科9週
2年次
4月前半〜 脳神経内科12週
6月後半〜 産婦人科4週(連携施設にて)
7月後半〜 小児科4週(連携施設にて)
8月後半~ 精神科4週(連携施設にて)
9後半~ 地域医療実習
11月前半~ *選択20週
※総合診療科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、外科、整形外科、救急科は当院で研修可能
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